介護・福祉の労働者確保のため、護報酬の引き上げが急務
社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針の見直しに対するコメント 2007年8月27日
愛知県医療介護福祉労働組合連合会
(1) 介護・福祉の労働者の確保のため、国は低すぎる介護報酬を引き上げ、仕事に見合った適切な給与水準を保障すべきです。
1993年から14年ぶりに見直された新たな指針では、高い離職率がマスコミなどに取り上げられ社会問題化する中で、介護・福祉職場の「人材確保に真剣に取り組」む必要があり、「喫緊の課題」と位置づけて介護報酬引き上げにも言及したことは、わたしたちの運動の成果の表れであり、大変重要です。人材確保の視点からも「働きがい、魅力ある職業」となるため「就職期の若年層から魅力有る仕事として評価、選択」や「良好な労働環境の整備」が挙げられました。
ところが、給与等は「キャリアと能力にみあった適切な給与水準を確保」としながら、国家公務員の給与では最も低い「国家公務員の福祉俸給表」を「参考」とするよう述べました。具体的な人材確保では、その柱がマスメディアを通じた介護サービスの広報活動や介護福祉士の潜在的有資格者等の再就業の働きかけ、多様な人材の参入として他分野の人材に就業説明、ボランティや高齢者の活用等におかれ、現状に見合う確保対策には程遠い内容になりました。
(2) 低賃金、劣悪な労働実態におかれた介護労働者の現状から、国が取るべき対策は明快です。
審議会資料では基幹職種である介護福祉士は有資格者47万人のうち就業者は27万人(就業率57%)、介護全体では離職率は20.%にのぼり全産業平均の17%を大きく上回っています。
その理由には低介護報酬が原因し、生活も、若年労働者にとっては将来結婚もできない低賃金水準になっていることがあります。介護労働者の毎月賃金は他産業と比べ全労働者平均が33万円に対し、平均21万円と12万円も低く、ホームヘルパーに至っては19万円です。また介護職場は非常勤が4割、ホームヘルパーでは8割をパートが占めており、不安定雇用でしか働けない構造となっているからです。
介護労働者へのアンケート調査から「現在の仕事を選んだ理由」で「働きがいのある仕事だと思ったから(64%)」「能力や資格が生かせると思ったから(36%)」と答えているにもかかわらず、「不満、悩み」にあるように給与が低い(47%)、有給休暇が取れない(43%)、業務の負担が大きい(29%)、仕事ががきつい(26%)との回答者が多いことから、介護の仕事への期待と希望を求めて就業した介護労働者は、あまりの劣悪な実態に直面して、泣く泣く職場を去っているというのが実態といえます。
(3) 国民の介護サービスの充実をめざし、国は責任をもって利用者負担増なしに適切な財政措置を図ぶべきです。
指針では介護サービスを受ける高齢者の急増をあげ、平成16年現在100万人の介護労働者を10年後には150万人に増やす必要があるとしました。現状は人員配置の少なさから、サービス残業や違法な日当直等の労働基準法違反が常態化しています。こういった労働実態の改善なしに人材確保も、質の高い介護サービスも提供できません。
わたしたち医労連は、賃金と労働条件を仕事にみあった適切な水準への引き上げ等、介護労働者の社会的な地位の確立と向上をめざし、国、自治体、経営者に対し、国民共同の運動を進める決意を表明し、全力をあげる決意です。
以上