2007.11.20 「医師・看護師ふやせ」秋の愛知県交渉

2007.11.20 「医師・看護師ふやせ」秋の愛知県交渉

県交渉全体風景
◆ 地域医療は崩壊寸前! 県は医師不足、看護師不足解消に責任をもって地域医療守れ

<写真>県交渉全体風景・鈴木委員長あいさつ

 
<交渉概要>
「2008年度予算策定にあたっての医師・看護職員の確保に関する要求(9月12日提出)」に関する愛知県交渉を14加盟組織33名、愛知民医連3名・福保労5名を含む53名、県からは医務国保課看護対策グループ主幹・同課長補佐・同主査・医療対策グループ主査の4名が対応しました。
 鈴木委員長があいさつし「昨年から医師、看護師ふやせの運動は全国署名100万筆、その世論が7月に国会決議となった」こと。又「国会決議を法改正と財政措置に反映させよう、と保険医協会や民医連等とともに5,100名中央集会を開催。愛知では11.17白衣行動、パレードでも市民は誰一人として署名を拒否しない。いま、みんなが何とかして欲しいという思いで運動している。県は今日の県交渉の声を受け止め、医療行政に反映を」と強調しました。

<写真>県当局あいさつ

<愛知県が現在行っている施策(要求への回答として説明)>
まず始めに愛知県から、要求書に対する回答がされました。
◇ 看護師不足解消の課題での主な回答

(1) 看護職員・需給見通しの見直し、の関係では、 1.現在の不足数 今年度に調査結果を医労連に提示。 2.「看護職員需給見通し」見直し要求に関する。調査は、08年の10月までに実施予定。  
(2) 定着・離職防止の課題
1.県独自の定着対策で、新人研修のための「出張研修」が好評、来年以降も継続。 2.「看護職カムバック研修」は県看護専門学校内・看護研修センターで実施(以下、年度推移)。  (3) 国の「看護基礎教育に関する検討会」の状況を報告「10月3日都道府県担当者会議で新人研修のカリキュラム説明。卒後臨床研修についても必要だとの意見が出ている」とし「国の方向が決まれば、円滑にすすむよう説明会もたい。」  (4) 院内保育所の補助金要求では「病院職員であれば職種を問わず補助対象に拡大。 県のホームページでも紹介し活用を呼び掛け。 厚労省も女性医師の離職防止で概算要求、24時間保育加算等
が検討されている。

参考:「看護職カムバック研修」は「5日集中コース」と「1日技術選択コース」を各定員20名で実施、実績は次のとおり。

受講実人員 就業者 就業率 回答率
H15年度 103 54 63.5% 85% (注)回答率は受講者に対しおこなった
H16年度 125 58 66.7% 87% 就業結果アンケート回答者の比率。
  H17年度 106 51 70.8% 72% 就業率は回答者に対する比率。
H18年度 134 73 78.5% 93%
(コメント) H18年度の就業場所は概ね病院3割・診療所3割
       病院就業者のうち500床以上への就業は6人。

◇ 医師不足解消の課題では
(1) 現在の医師不足は、国の言う様な地域偏在でなく、病院のどの科の勤務医も不足だ、というのが県の現状認識とし。県内62病院が何らかの診療制限・廃止(名古屋20/136病院)で、小児科にかかれない、分娩ができない、は都市部でも発生している。とし、その上で以下を回答しました。
(2) 愛知県としては、1.ドクターバンクを06年9月に立ち上げ、1年2ヶ月で13人の医師を紹介。他県と比べ業績をあげていると思う、 2.神田知事も厚労省に要請、全国知事会も医師の絶対数不足の論調が出ている。
(3)その上で、国の動きについては、 1.2年連続で医師養成増で、08年度は、新医師確保対策(医学部定員10県・10人増枠、自治医科大10名増。09年度にも緊急医師確保対策(全都府県5名、北海道15名増、神奈川・和歌山は20名増。 2.女性医師離職防止では24時間保育等の整備で検討され  3.訴訟問題では、医療事故調査委員会(仮称)の設立が検討され。無過失補償制度はまずは、産科の脳性マヒを対象に07年度途中からでもスタート予定。
(4) 医師の絶対数を増やす点では、抑制の閣議決定は撤回されていないので、全国知事会等で国に改善求める。大学医局制度が崩れ、医師派遣など愛知県に人事権がないため対策も困難になっている。 

<医師、看護師不足で地域医療が崩壊の危機に!県は地域の医療確保に責任もって対応を>
 回答の後、参加者から医師・看護職員の深刻な不足状況について次々と発言がありました。

<県は、行政として地域の医療、看護師確保で調整機関の役割発揮を>
【医師からも発言】
 看護師確保も個々の病院任せでは、金も人もなく無理だ。県と市が役割を発揮すべきだ。国の施策で医学生削減分を毎年300人増は、歓迎だが解決にほど遠い。県内4カ所の医科大学に対して、予算を付ける等して援助すべきだ。

【発言の紹介】
◆僻総務省が先日、突然、自治体病院の合理化計画打ち出した。ベッド稼働が3年連続7割なら、ベッド削減や再編対象。医師不足による赤字には、何も触れず、実施されたら地域医療守れない。県も国にものを言って欲しい。
◆絶対数の不足解消が基本だ。しかし、当面の現状をどうするか、自治体病院の管理者からは、病院が1次~3次救急まで、全部見るのは無理。医師がパンクし、市民病院の役割は足せない、と。個々の病院が地域の患者や医師会等と調整するのは不可能、県が地域医療をどう守るか、行政の立場から調整役を担うべきだ。

<県からの再回答、医労連から再度、要望>
看護師不足解消の課題での再度の県の回答 
(1) 愛知県内の養成数は全国トップレベル。だが離職も多い、離職防止がなければ質を担保できないのは言われる通り。養成数を増やすのは、もう限界。辞めなくて済む方策を考える必要がある とし以下を表明。
(2) 看護師の確保で、 1.潜在看護師の掘り起こしは、現在、県内1カ所のカムバック研修を各地区ごとにできないか、考えたい。例えば豊川市と豊川市医師会が今年度2回(11月、08年2月 県も講師派遣予定)のカムバック研修の動きがある。 2.同時に、助産師の復帰支援も助産師会の協力で、可能か相談中だ。 3.プリセプターの離職防止策、管理者の対応策も具体化したい。
(3) 医療事故対策は、県としても現場に出向き現場の事情を聞く等対応している。

医師不足解消の課題での再度の県の回答
(1) 国の医師養成(=医科大学の入学定員数増)は、県が奨学金予算負担になるが調整し対処。しかし4カ所の医科大学では、学生増での受け入れ体制に、大學で人件費もかかり大変な事情も。
(2) 国は小児科、産科の医療体制を中核病院への集約(医師の集中病院機能再編)でやれと言ってきたが、県は医師のいなくなった病院は立ちゆかなくなると判断し国の方針通りにしなかった。
(3)診療報酬上の措置、増大する医師の事務量の見直し等も必要。

<愛知県医労連からのまとめと要望>
  最後に医労連・原書記長から、以下の点でまとめ、県に要望しました。(1)(産科、小児科の集約化・方針、等のように)県は国が制度改悪を押しつけても地域医療守る視点で拒否すべき事はNOを。また、逆に、必要なことは必要と国には意見を (2)保育所、研修制度も増額を。財政難と言うが大學の医師定数枠に一体いくらかかる!?愛知は財政が豊かだ、ムダを削って命を守れる県施策の強化をお願いする。

公開:2008年2月5日   カテゴリー: