【07年12月13日】秋闘速報32号

介護報酬アップ改善論議が開始

介護報酬改定08年4月実施せず・・・
しかし、今年見直しの「新・人材確保指針」を受けて。報酬アップ改善論議にはいる!
             (07年12/10医療介護情報CBニュースから)
 介護労働者の低賃金や事業の赤字が深刻となり、改善措置を検討してきた厚生労働省の「社会保障審議会介護給付費分科会」は12月10日、08年4月に介護報酬改定を実施しない方向で合意した。
 介護労働者の低賃金や事業の赤字経営が深刻となり、改善措置を検討してきた厚生労働省の「社会保障審議会介護給付費分科会」は12月10日、2009年4月の介護報酬改定を1年前倒しする緊急措置を見送り、08年4月には改定しない方向で合意した。
今年10月から関係団体からヒアリングを行い、介護サービス事業の実態把握を進めてきたワーキングチーム(WT)が「労働者の処遇や事業の経営状態に関する問題には、介護報酬の水準だけでなく、さまざまな要因が影響を与えている」と報告し、委員からも慎重かつ詳細な検討を求める意見が大勢を占めたため。
 介護労働者や介護事業者の窮状を訴える声の高まりにより、同分科会は状況改善のために実態把握が必要と判断。これを受けて10月に設置されたWTは、9つの関係団体から計3回にわたるヒアリングを実施し、この日、現状や今後の検討課題を取りまとめた報告書を提出した。
 報告では、介護労働者の賃金水準について「全産業平均と単純に比較すれば低い」とし、また介護サービス事業の経営についても「厳しさを増している」と明記。しかし、労働者の賃金には勤続年数・年齢・性別・就業形態といった条件が、また事業者の経営にはサービスの種類や事業規模などの違いがあると指摘。諸問題の解決のためには、介護報酬の水準▽事業に係る基準や規制の在り方▽介護保険サービスの在り方とその範囲▽事業市場の状況▽事業のマネジメント▽人事労務管理の在り方▽介護労働者市場や他の労働市場の状況▽サービス提供以外の事務負担―の8つの要因について十分な分析を行い、「幅広い観点からの施策を講じる必要がある」という基本的な考え方を示した。
 そうした上で、今後の検討課題として、各事業に共通するものと事業ごとのものに分類した。
 共通事項として挙げたのは、介護報酬の水準はもちろん、労働者の定着のために労働者の属性に応じた対策やキャリアアップの取り組みに対する評価。これに加えて、書類作成などにかかる負担が軽減される規制の見直しや給与などの地域水準を適切に反映する仕組みの検討も盛り込んだ。
 訪問・通所系の事業としては、質の確保のために、サービス提供責任者などについて、人員配置基準の在り方とともに報酬上の評価を考えるほか、訪問介護の生活援助を保険サービスとしてすべて対応することの妥当性や、保険内で決められたサービス時間に保険外の費用で上乗せできる契約の是非についても言及。さらに、施設系の事業としては、入所者の重度化を考慮した人員配置基準の在り方などの検討も示している。 次の介護報酬改定は09年4月に行われることになっているが、緊急措置として08年4月に実施する選択肢もあった。しかし、会合では、WTのメンバーを務めた池田省三委員(龍谷大学教授)が「介護報酬を設定するには労働者や事業者の視点だけでなく、サービスの報酬単位や保険料に関する社会的な合意が必要」と話すなど、委員らは今後幅広い観点から詳細な検討を行うことでおおむね合意。会合後、厚労省の担当者も「08年4月に改定を行わない議論だったと理解している」と話した。

公開:2008年2月5日   カテゴリー: