【08.02.06】中医協公聴会で日本医労連役員が意見陳述

速 報! 重症度・看護必要度評価は導入するな中医協公聴会で、医労連代表が看護師の思いをはじめて発言

 中医協の公聴会が1月25日、群馬県前橋市で開催されました。公聴会は、診療報酬改定について、国民から広く意見を聞くことを目的に2年前はじめて開催され、今回が2回目です。約300名が傍聴しましたが、日本医労連からも大村淑美副委員長はじめ、全厚労福島・長野、群馬、埼玉、新潟などから10名を超える傍聴参加がありました。
意見発表では、医師や薬剤師、病院事務、健保組合、患者、市民など、10名が発言。医労連組合員も6~7名が申し込んでいましたが、国共病組書記長の中島良子さん(日本医労連中執・看護対策副委員長)が選ばれ、堂々と意見陳述しました。医労連役員が中医協で発言の機会を与えられたことは、極めて異例なことです。
中島さんは、「7対1に重症度・看護必要度評価を導入することは、増員の流れに水を指すもの」「諸外国に比べ圧倒的に少ない看護職員の増員こそ必要」と、現場実態を切々と訴えました。中医協委員からいくつも質問を受け、最も注目される発言でした。

中医協での中島良子さんの発言
2008年 1月25日速 報 私は看護師として長年、病院で働き、現在は労働組合の役員をやっています。その経験から、検討されている重症度・看護必要度評価の導入は、絶対に止めていただきたいと、切に思っています。 その理由は第1に、看護職員は厳しい労働環境に置かれており、増員こそ必要だからです。看護必要度評価の導入は、すすみつつある増員の流れに水を指すものです。 医療の高度化に加え、平均在院日数の短縮や患者の重症化、安全対策などで、看護の現場はかつてないほど過酷な勤務になっており、離職が後を絶たない状況です。私たちが加盟している日本医労連の調査では、73.1%の看護職員が仕事を辞めたいと思っていると回答しています。最近公表された石川県の調査でも、卒後3年未満の看護師の85.9%が辞めたいと思っていると答えています。 諸外国に比べて圧倒的に少ない、日本の看護職員の配置基準を、引き上げることが必要です。医師や看護職員の不足が社会問題になっていますが、絶対数の不足が問題なのであり、その改善にこそ、力をいれるべきです。看護職員確保法を実効ある内容に改正するとか、需給見通しを緊急に見直すことなど、やるべきことはたくさんあります。 理由の第2は、評価表が看護必要度を科学的に測る指標と言えるか、はなはだ疑問だということです。中医協に出された調査結果では、看護配置の違いでA得点に明確な差は出ませんでした。必要度を測る科学的な指標が確立されていないということの、何よりの証拠だと思います。 評価表は手直しされましたが、「たったこれだけの項目で、いろんな違いがある病棟の業務を測ることはできない」というのが、多くの現場の声です。例えば、人工呼吸器などが取れ、患者さんが動けるようになった時こそ、注意深く患者さんを見守りサポートする看護の専門職の手が必要ですが、評価表には、そんな項目はありません。看護は人間相手の仕事であり、生活行動援助のプロセスや対話を通じて患者の心に働きかけ、闘病意欲を引き出すことも重要な業務です。数値化できない作業・分野も多く、いくつかの項目だけで必要度を把握しようということに無理があると思います。 私たちは加盟組合に依頼して今、評価表を使って患者チェックをやっています。「どうしてこの病院が、こんなに点数が低いのか」と、首をかしげる事例もあります。診療科によって、点数にかなりアンバランスが出るようです。 このまま、拙速に必要度評価を導入すれば、現場の混乱は必至です。止めるべきです。 理由の第3は、患者のいのちと安全を守る上で有益なのかという問題です。私たちの調査でも、評価には大体40~50分かかっており、「ただでさえ忙しくて大変なのに、仕事を増やすだけではないか」という声がたくさん出ています。必要度のチェックに時間と労力を割かれ、患者のケアがおろそかになるようでは本末転倒です。今でもテンテコ舞いの看護師たちに、これ以上の負担を押し付けないでください。 私は、アメリカで数年間、暮らした経験がありますが、看護配置と患者の安全の関係が詳しく研究されていました。死亡事故の経緯を調査し、分析するというプロセスを取る中で、人為的なミスやマンパワーの問題が明らかになり、配置人員が増やされています。厚生労働省も見習って、そうした研究にお金を使ってください。 「深刻な看護師不足にどう対処するのか」とおっしゃるかもしれませんが、離職防止こそ、最も有効な対策だと思います。私たちの加盟組合のある虎の門病院、TNSという看護必要度評価でも有名ですが、200名前後の採用がありながら、7対1がまだ取れていません。その理由は離職に歯止めがかからないからです。 急性期の大病院の中には離職者が多い病院がかなりあります。厳しい労働条件で、働き続けられないのです。ベテランがいないということは、若いナースにとっても大変ですが、患者の安全にとっても不幸なことです。増員・労働条件改善こそ、人手不足解消の決め手だと思います。 最後に、2年前の改定では、療養病床に医療区分・ADL区分が導入されましたが、点数をあげようと、「喀痰吸引を全員に8回やれ」と病院が指示するなどの事態も起きました。必要度評価を導入した場合には、そうした問題も懸念されます。 いくらチェックをやろうと、看護が充実するわけではありません。重症度・看護必要度評価の導入は止めてください。よろしくお願いします。 中医協の公聴会が1月25日、群馬県前橋市で開催されました。公聴会は、診療報酬改定について、国民から広く意見を聞くことを目的に2年前はじめて開催され、今回が2回目です。約300名が傍聴しましたが、日本医労連からも大村淑美副委員長はじめ、全厚労福島・長野、群馬、埼玉、新潟などから10名を超える傍聴参加がありました。 意見発表では、医師や薬剤師、病院事務、健保組合、患者、市民など、10名が発言。医労連組合員も6~7名が申し込んでいましたが、国共病組書記長の中島良子さん(日本医労連中執・看護対策副委員長)が選ばれ、堂々と意見陳述しました。医労連役員が中医協で発言の機会を与えられたことは、極めて異例なことです。 中島さんは、「7対1に重症度・看護必要度評価を導入することは、増員の流れに水を指すもの」「諸外国に比べ圧倒的に少ない看護職員の増員こそ必要」と、現場実態を切々と訴えました。中医協委員からいくつも質問を受け、最も注目される発言でした。

公開:2008年2月6日   カテゴリー: