診療報酬プラス0.42%(約1,100億円)・プラス約400億円
【08年診療報酬改定案を答申】-2月13日中医協総会
中央社会保険医療協議会(中医協、会長=土田武史・早稲田大商学部教授)は2月13日の総会で、個別項目の点数が入った「2008年度診療報酬改定の主要改定項目案」を了承し、舛添要一厚生労働大臣に答申した。答申には、診療側と支払側から出された意見が付記された。
治療や検査などで医療機関が受け取る診療報酬は2年に1回見直される。
前回の改定は2006年4月に実施され、診療報酬の全体で「マイナス3.16%」という過去最大の下げ幅だったが、今回は全体で0.82%のマイナス改定にとどまった。
しかし、薬価などを除く診療報酬の本体部分は、医科と歯科がプラス0.42%、調剤がプラス0.17%と、辛うじて8年ぶりにプラスを維持した。
今回の診療報酬改定では、医師不足が深刻化している産科や小児科などの病院勤務医の負担を軽減するための対策を「緊急課題」に位置付け、これに約1,500億円を充てる。診療報酬本体のプラス0.42%(約1,100億円)はすべて勤務医対策に振り向けた。
残りの約400億円は「軽微な処置の包括化」や「外来管理加算の要件見直し」など、診療所にとって点数の引き下げに相当する改定を行い、この財源を充てる。
産科や小児科の医師不足対策としては、産科医の負担軽減につながる計画書の作成を算定病院に義務付けるとともに、「ハイリスク分娩管理加算」を現行の1,000点(1日)から2倍に引き上げて2,000点(同)とした。
小児科では、子ども病院をはじめとする小児医療の中核的な施設での手厚い人員配置を評価し、小児入院医療管理料の上限区分を3,600点(1日)から4,500点(同)に引き上げた。
また、病院に軽症の救急患者が集中することが勤務医の負担を増加させているとの判断から、早朝や夜間の軽症患者を診療所に誘導するために「診療所の夜間・早朝等加算」を新設し、初・再診料に50点を加算する。
このほか、医師の書類作成などを補助する「医師事務作業補助体制加算」を新設し、入院初日に「入院基本料等加算」として評価する。最高点数である「25対1補助体制加算」は355点と高い評価になっている。
答申を受けて、舛添厚労相は「就任以来、医療をめぐる問題に取り組んでいるが、特に医師不足や産科、救急医療などは国民的な課題。特に病院勤務医の負担をどのように軽減させるか、これを診療報酬改定で手当てしたいという問題意識を持っている。良い答申にまとめていただいたことに感謝を申し上げたい」とあいさつした。
■ 病院の再診料は3点引き上げ
注目された200床未満の病院の再診料は3点引き上げられ、現行の57点から60点となった。しかし、診療所の再診料(71点)との間には、依然として11点の開きがある。
今回の診療報酬改定をめぐる議論で最後までもつれた「診療所の再診料」は、1月30日の中医協総会で公益委員が最終判断を下し、引き下げが見送られている。
土田会長は「初・再診料の抜本的な見直しができなかったことに責任を感じている。病院と診療所の再診料を同じにするだけでなく、もっと抜本的に、再診料や初診料はどうあるべきか、病院と診療所との関係はどうあるべきかを今回やるべきだった。次回の改定に検討を委ねたい」と感想を述べた。
答申には、「初・再診料、外来管理加算、入院基本料等の基本診療料については、水準を含め、その在り方について検討を行い、その結果を今後の診療報酬改定に反映させる」との意見が付された。
*キャリアブレインCBニュースより