【08.06.10】 【春闘速報25】080528 厚労省が療養病床の削減を撤回!

医療難民・介護難民を生み出す 療養病床廃止は撤回

【春闘速報25】080528 データpdf

医療療養病床の削減を断念!!
ついに厚労省が方針転換

◆都道府県需要調査で
 全国「25万床維持必要」

 毎日新聞(08年5月24日・夕刊)によれば「医療型療養病床」(25万床)を2011年度末までに4割減らす計画を厚生労働省は断念、現状維持する方針転換した」と報道しました。
 政府は2006年2月、当時38万床あった病床のうち介護型療養病床(13万床)を全廃、医療型療養病床も4割減・15万床に削減方針を決定。「医療の必要度が低い」と判定された患者の入院費の報酬を減額し、経営悪化に追い込みながら強引に廃止・介護施設への転換を迫ってきました。
 わたしたち日本医労連に結集する仲間と社会保障推進協議会は、“介護難民を作るな!”のスローガンを掲げ、国民に訴えて運動してきました。
 その運動が全国で大きくひろがり、大きな批判の声に対し、厚労省は昨年4月に「医療型療養病床・実情調査」を実施(回復期リハビリ病棟2万床を削減対象から除外)。結果が先頃まとめられ、(1)全国都道府県が必要とする療養病床数を積み上げたところ、当初計画を7万床上回る約22万床に達することが判明、同時に、(2)削減対象外としたリハビリ病棟は少なくとも今の1.5倍=3万床程度は必要、(3)高齢者の増加で今後の需要数を加えると、結局、現状と同じ25万床前後が必要、「医療療養病院床は、削減出来ない」の政府判断がされたとのことです。

◇ 参考 療養病床とは・・・
 慢性病高齢者・長期入院施設。ピーク時06年2月時点で医療保険適用の「医療型(25万床)」「介護保険適用介護型(13万床)」の計38万床。患者実態は医療も介護も違いはないとされる。厚労省は、医療の必要性がない社会的入院だとして医療費抑制のため削減方針だった。

政府“医療療養型”削減の断念で
愛知では9,748ベッドの削減を食い止める!

(1) 愛知県の療養型病床は、1万4,574床のうち医療型の9,748床は存続
 そのうち療養病床(回復期リハビリテーション病棟である療養病床を除く)は全国に約35.2万床(病院報告/平成18年8月)あり、そのうち医療保険適用の医療療養病床9が約23.4万床、介護保険適用の介護療養病床が約11.8万床となっています。
 愛知県下のベッド総数は6万6,505に対し、療養病床は1万4,574床(平成18年10月1日現在)で約2割を占めます。うち医療療養病床が9,748床(回復期リハビリテーション病棟1,301床含む。)で介護療養病床が4,826床です。

(2) 愛知と全国実態との比較(平成17年度・資料から) 
※ 愛知の療養型病床は、後期高齢者人口対比で全国平均より13%少ない
※ 愛知の一人当たり医療費は全国40位で低い(愛知23万円、全国25.9万円)
※ 愛知の総医療費に対する老人医療費は、全国平均より低い
              (愛知31%・5,317億、全国35.1%・11.6兆円)
 先の全国都道府県の調査結果と同様に愛知県も政府調査に基づく計画が「愛知県医療費適正化計画(平成20年4月)」で策定されましたが、後期高齢者(75歳以上)人口千人当たりの療養病床数を見ると、愛知県は26.8床であり、全国平均30.9床より13%少ない現状です。そのことから、愛知県も他の都道府県と同様に、現在ある医療療養病床の算定では、現在の医療療養8,447ベッド(回復期リハ除く)より8,977としプラス+530ベッド増やすことが必要との計画になっています。
 更に、愛知県は県民1人あたり医療費でも全国平均より少なく、医療費の中の老人医療費についても同様に低い、との実態が県から出ています。県民への必要な医療費の削減は行わせず、介護難民を生まないため地域の医療を守るための運動が必要です。

公開:2008年6月10日   カテゴリー: