【08.06.16】【春闘速報35 08/6/16 ハンセン病問題基本法が全会一致で成立】

92万筆の国会請願署名が超党派議員連盟を動かし

【春闘速報35 08/6/16 ハンセン病問題基本法が全会一致で成立27KB】

素晴らしいニュースです

◆ 90年間に及ぶ国の強制隔離政策廃止  の段階から(96年の「らい予防法」廃止)から
◆ ハンセン病問題の最終解決へ、ゴール
6/11・ハンセン病問題基本法が全会一致で成立

 全国に13か所ある国立ハンセン病療養所について、医療・介護体制を整備し地域住民に開かれた施設として存続と発展をさせる措置を盛り込んだ「ハンセン病問題基本法」が6/11に成立。
 ハンセン病の隔離政策は96年のらい予防法廃止で終止符を打ちましたが、らい廃止法により施設や敷地の利用は入所者に限定されたままで、その一方で、入所者は2764人(今年2月現在)とピーク時の4分の1に減少し、医療や福祉の維持が困難となっていました。

92万筆の国会請願署名が超党派議員連盟を動かし
法律を作らせる運動に (裏面に全医労の見解)
 こうした中、療養所を抱える全医労の仲間や入所者や支援者の方々が、地域への開放を可能にした上で将来にわたり医療・福祉施設として維持、発展させるための国会請願署名などの運動を展開。署名は92万人を超えて集約され、超党派の国会議員でつくる「ハンセン病対策議員懇談会」(会長・津島雄二衆院議員)と「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」(会長・藤井裕久衆院議員)に提出。基本法は、この2つの議員連盟が今年4月に法案提出していました。

「ハンセン病問題の解決の促進に関わる法律」(ハンセン病問題基本法)成立にあたっての見解

 本日、参議院本会議において、「ハンセン病問題基本法」が全会一致で可決・成立しました。「ハンセン病問題基本法」制定運動は、全療協・全原協や支援団体とともに全医労がこの1年組織をあげて全力で取り組む中、国民世論が大きく動き、92万を超える署名を積み上げることが出来ました。

 この世論が国会をも大きく動かし、衆参ともに全会一致で採択されるという成果を得たものです。全医労は、組織結成以来、悲惨を極めていたハンセン病療養所の医療・福祉改善闘争に全力あげてきました。

 療養所の将来的な形として、地域住民の財産、国民の共有財産として、医療機関としての発展方向、福祉施設・機関への転用・併設などを展望して厚労省を追及してきました。また、偏見除去・啓発運動、議会要請行動、地域宣伝行動などにも積極的に取り組んできました。1996年、未曾有の人権侵害を犯してきた「らい予防法」が廃止され、2001年の熊本地裁での「らい予防法」違憲国家賠償訴訟の勝訴によって、国はハンセン病元患者の方に謝罪をしました。

 一方厚労省は、「らい予防法廃止法」を盾に、今日まで療養所の立ち枯れ、縮小・廃止路線を変えることなく、「入所者の方を最後まで療養所でみる」としながらも具体的な療養所の将来像については全く明らかにしませんでした。
本日成立した「ハンセン病問題基本法」では、ハンセン病を理由とした差別やその他権利侵害を禁ずるとともに、ハンセン病元患者や家族の人生被害を可能な限り回復すること、入所者が地域社会から孤立することなく安心して豊かな生活を営むことが出来るよう、国・地方公共団体の責務を明確にしています。

 また、療養所の運営に関わっては、「医師、看護師及び介護員の確保等国立ハンセン病療養所の医療および介護に関する体制の整備のため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」として、国に対し療養所運営に必要な職員確保の努力を求めるとともに、「ハンセン病療養所の土地及び設備を地方公共団体又は地域住民等の利用に供する等必要な措置を講ずることができる」とし、入所者の方の療養環境の確保に向けた療養所の充実・強化の具体化の選択肢を大きく広げるものとなっています。

 私たちは、この基本法の理念に基づき、ハンセン病に関わるすべての差別の除去をめざして今後とも啓発活動に旺盛に取り組むとともに、各園の将来構想の展望を切り開き、ハンセン病問題の全面解決を実現するよう全力を挙げて運動をすすめていくことをあらためて決意します。

                          2008年6月11日
                全日本国立医療労働組合・中央執行委員会

公開:2008年6月16日   カテゴリー: