看護師10万人体制の実現を-
<各労組・支部の「回答書」「取り組みの解るニュース」を送って下さい>
◆ 県は医師不足、看護師不足解消に責任をもて
◆ 県は7対1看護基準・新設で破綻した計画を見直せ
国会請願採択(07年7月)に基づく
「愛知県看護師10万人体制」の要求前進へ
県知事宛署名を一気に集めよう
11/21(金)秋の愛知県交渉で
看護職員需給見通し、を見直す
旨の回答を得る!
(写真 愛知県看護師10万人体制要求の署名を提出する
第1次提出分 3000筆を県に手渡す・・)
<交渉・概要>
愛知県医労連は、9月8日に提出した「2009年度予算策定にあたっての医師・看護職員の確保に関する要求」に基づく愛知県交渉を11月21日(水)午後3時00分から5時まで、自治センター3F会議室Bでおこないました。
愛知県からは医務国保課看護対策グループ大場主幹・同河合課長補佐・鈴木同主査・医療対策グループ緒方主査の4名が出席し、愛知県医労連・石田恵子副委員長があいさつし、交渉に入りました。
県回答では「看護職員需給見通しの抜本見直し」要求に対し、『現在、看護職員需給見通しの「中間・検証」を実施中で調査結果をまとめて、看護職員の需要・供給状況を修正し、2008年度内(09年3月末まで)に公表する』との表明を引き出したことです。このことは、7対1看護取得で増加した看護師の需要増加分(=不足数)を調査で明らかにし、看護職員不足分を補う供給増に計画修正=増員で見直しすることを意味するものであり極めて重要な成果になりました。(=現在の第6次見通し→2010年までに1万人程増員し、愛知県内・看護師増数を、6万6000人とする計画です)
※ なお、その他の要求に対する回答の詳細は、別途記載しました。
今回交渉の重点要求は、(1) 「第6次・愛知県看護職員需給見通し(2005年12月策定)を抜本的に見直しさせ、予算増を含めた愛知県内・看護師10万人体制の大幅増員計画を作らせること (2) 医師不足解消のため愛知県が確保のために具体的な施策と必要な予算増を講じさせ、必要な地域に医師を確保させること。 (3) 公立病院ガイドラインの押しつけはさせず、地域の公立・公的な医療機関の存続と発展の施策を講じさせること、の3点でした。
<愛知県からの回答)>
まず始めに愛知県から、要求書に対する回答がされました。
◇ 看護師不足解消の課題での主な回答
(1) 「看護職員・需給見通しの」抜本見直し要求は、「中間検証(注)」を実施している。としました。
(注)中間検証とは・・・
国の方針によって、全国各都道府県で5年ごとに策定される「看護職員需給・見通し
(今回は、第6次分、2005年12月から2010年までが期間)」に対し愛知県が独自に中間的
な実態調査を行い、策定以降に増加した「看護師・需要数」を調べ需要数(=必要数)
が増加すれば、その分、供給数(看護師増員数)も増やすよう計画を修正するため行う
調査です。(調査は策定された計画の項目にそった内容で県下の対象病院及び医療機関
施設に発送されています。回収は2009年1月です。)
このことから需給見通し策定(2005年12月)以後に新設された7対1看護基準(2006年4月)により発生した急激な愛知県内・看護師不足数は、需要の増加とみなされ供給増(=増員必要数)にカウント、現行計画が修正されることは間違いない方向です。
さらに、この中間検証は、国により都道府県に課せられる義務的な措置ではなく、愛知県が独自判断で実施したもので、まさに愛知県独自の努力の表明です。同時に、そういった姿勢に変えさせたのは、私たち愛知県医労連の運動の反映とみるべきで、大きな成果です。ここからが新たなスタートです。いまから大事なのは、では、どれだけ増やすのか、です。県知事宛署名を10万筆あつめて看護体制の大幅増員を実現させよう!!
(2) 愛知県の看護師充足へ、これまでの対応と現在の対策を回答
充足には、養成・離職防止・復職支援の3点が重要と考え対策を講じてきた。
(1)養成
・ 愛知県内の看護学校数は増加させている。定員は3500人(少子化もあり社会人入学の促進も)
・ 弥富高校での2年家庭通信制では250人のうち80%合格率。
・ 看護の質の充実でも、3年→大學化、2年→3年。
(2)定着、復職支援(昨年の回答の範囲でしたが独自努力の姿勢表明が引き続き回答)
・ 出張研修制度
県独自の定着対策で新人研修のための「出張研修(独自対応が困難な200床病院以下に実施)」。
・ 看護職カムバック研修
県看護専門学校・看護研修センターで実施、実人数の受講者総数は5年間で602人。その内、 就職したのは、およそ300人で5割の職場復帰で成果(以下、年度推移)。
参考:「看護職カムバック研修」は「5日集中コース」と「1日技術選択コース」を各定員20名で実施、実績は次のとおり。
5年間の実施で、総受講者数は、実人数で602人、就職死者数は概ね300人で5割が職場復帰
受講実人員 就業者 就業率 回答率
H15年度 103 54 63.5% 85% (注)回答率は受講者に対しおこなった
H16年度 125 58 66.7% 87% 就業結果アンケート回答者の比率。
H17年度 106 51 70.8% 72% 就業率は回答者に対する比率。
H18年度 134 73 78.5% 93%
(コメント) H18年度の就業場所は概ね病院3割・診療所3割
<看護職員需給計画の見直しは、300床以上の中核病院はすべて7対1が取得できよう、10万人体制を要求>
今回の交渉結果は、わたしたちが要求する愛知県内・10万人看護師体制の要求実現へ、大きな前進ですが、今回の交渉にむけて、愛知県医労連としては以下の点で調査や資料を作成して、抜本見直しの必要人員が10万人であることを追求しました。
<資料作成し、データで追求した3点>
(1)県下の300床病院(地域の急性期を担っている中核病院)のすべてが7対1看護基準を取得するための必要人員を積算(注-1)
(2)さらに、国の指導に従って全国都道府県で計画されている「愛知県地域医療保健計画(4疾病・5事業)(注-2)」で、7対1看護取得病院数を調査し、取得は、拠点病院でさえ、わずかに3割の驚くべき実態が明らかになりました。
(3)夜勤実態調査(2008年度、愛知版 注-3)結果から、法律の月8日以内で9回以上の夜勤者が平均でも「3割以上」の異常な法違反の現状を明らかにして増員計画を立てるよう迫りました。
(注-1、-2)急性期病院・300床以上の県内66病院での7対1看護取得を保障する
看護職員需給計画に見直すべき・・・4疾病・5事業の国民病対策、保健・災害対策等の拠点病院が、7対1看護がわずか3割では機能しない!県は、医療保健計画の実行に責任持つ立場からも、10万人看護体制で見直しをはかれ!
愛知県需給見通しでは、計画が終了する2010年には県内看護師数は約6万6千人に増加させる計画で、そのうち病院に勤務する看護師は3万5千人です。7対1看護を急性期を担う病院のうち少なくとも300床程度の中核的医療機関全てで取得できるようにするには看護師が最低1.5倍以上は必要です。
300ベッド以上病院の合計を7対1に移行させるには1万7,000人以上増員が必要で現行計画にプラス+1万7000人以上でつまり8万3000人以上は最低限のため10万人を要求しています。
参考 愛知県内の病院総数は現在350病院で、300床以上の病院数は66病院
66病院のベッド総数 3万1,423ベッド
300床以上病院に占める7対1看護数 66病院うち21病院・26%(わずか4病院に1つ!)
参考 愛知県地域保健医療計画(4疾病→国民病対策 がん心筋梗塞・糖尿病等プラス5事業)
愛知県地域保険医療計画での拠点病院は46病院
拠点病院 7対1看護基準取得状況 46病院うち15病院・33%(拠点病院でさえ、3割!)
現在の 7対1看護基準取得状況(2008年5月末現在)
取得は、全部の病院をあわせても34病院
(注-3)2008年「夜勤実態調査結果・愛知版(医療機関)」
夜勤回数状況は、3割もの看護師が法律を超える夜勤実態!
看護職員確保法の1人あたり月最高8日までを基準とし月9回以上の人数をカウント
夜勤者総数3,745人に対し9回以上の人数 全体で1,105人(29%)
(1)調査概要 回収は加盟組合38カ所のうち、20組合・支部(52.6%)
21施設(内訳 国立4施設、公的7施設、地場民間5施設、自治体5施設)
(2)特徴点
1. 病棟数は、172病棟
看護基準取得状況は、10対1看護が13施設
7対1看護が6施設(公的2、民間3、自治体1)、精神1施設
集計施設には13対1看護基準は、なし
2. 許可病床数に対する稼働病床割合は、89%(許可7,554うち、稼働6,759)
看護職員配置数
ベッド総数に対する配置数 1.61人(4,263人・看護師のみ。100%稼働の場合)
実際には看護職員の配置数 1.44人(90%程稼働と想定、平均稼働率から)
3. 夜勤に入った看護職員数
夜勤者総数 看護職員総数4,263人に対し3,745人で89%、ベッド対比1.83人
(90%程度稼働で1.65人
<医労連から、まとめと要望>
最後に医労連・原書記長から、以下の3点で交渉の最後に再度強く、県に要望しました。(1)医師不足解消も、看護師不足解消も、県民の命を守る責任を負う県が、いったい何人の人員確保が必要なのかを、明確にして計画すべき。同時に、必要な財政措置を講じることが、どうしても必要だ。国は医師も10年だが養成を1.5倍化するとした、介護もあまりに低い賃金を2万円アップさせ、そのために急激な利用者負担増を避け国費で1200億円投じる決意をした。看護も同じ手だてを講じるべきだ。 (2)増員計画に基づく人材確保は、有効な定着と離職防止策が必要だが、労働組合連合会として、引き続き必要な意見を集約してゆきたい。愛知県医労連はこの12月から日本医労連の「退職予定者・中途採用者(復帰者)アンケート」に取り組む。退職理由、復帰に必要な施策を明らかにして有効なデータをとりたい。 (3)多様な働き方は、労働基準法違反が、蔓延(まんえん・はびこっているの意味)している医療・看護職場では、法律を守ることがまず先決ではないのか。先日、また過労死事件が起きた(東京済生会病院)。大阪の国立循環器センターでの24歳看護師の過労死裁判で国は上告を断念し、責任を認めた。この状況を見て日本看護協会も緊急の時間外調査を開始するという・・こんな状態を一刻も早く改善させることことが、論議の出発ではないのか。
愛知県として引き続く努力をお願いする。
【愛知県交渉・参加者】 合計15組合25名のみなさん、ご苦労様でした!
全国組合 全医労2(愛知地区1 、東尾張1)、健保労組中京1
民医連 南生協1、みなと生協2、名南会1、北生協1、尾張3
自治労連 県本部1、名古屋市民2、豊橋市民1、豊川市民1、新城市民1 半田市民1、 春日井市民1、蒲郡市民1
ほか 書記局3、福祉保育労2