【10.06.10】春闘速報23 第28回愛知医療研 中村医師の講演に笑いと感動

第28回愛知医療研 21組合・142名の参加で大成功

 
第28回愛知医療研 「かがやけ命・誇りを持って働こう」をテーマに

21組合・142名の参加で大成功
中村医師の講演に笑いと感動の涙

愛知県医労連は5月30日(日)第28回愛知医療研究集会を開催しました。
「かがやけ命・誇りを持って働こう」「地域の中で、住民と共に安全・安心の医療を創り出そう」をテーマに、21組合からのべ142名の参加(午前講演会120名、午後分科会91名)で大成功をおさめました。

患者の人生に寄り添い続けて17年の奮戦記
中村医師の明るく温かいトークに笑いと感動の涙

午前の記念講演は、福井県名田庄村(現:おおい町名田庄地区)で唯一の医師として地域医療活動に取り組む、中村伸一医師。

症状や痛みを抑えることがすべてという治療ではなく、患者一人ひとりがいきいきと過ごすためには何が必要か、村の気候やくらしを熟知し、趣味や嗜好、生活、そして人生そのものに共感を寄せる“人を診る医療”

患者の「最期まで家にいられて幸せな人生やった」このささやかな、しかし切実な想いと向き合い、患者の人生に寄り添い続けて17年の奮戦記。

へき地の中でただ一人の医師という厳しい現実を、プラス思考で頑張っている姿。「地域を支えているつもりが、地域に育てられ地域に支えられてきたのは自分自身だった」と、名田庄村での体験・経験を通して感じた人間の温かみのあるエピソード、ユーモアと真剣さを織り交ぜながらの講演に、会場は笑いと感動の涙であふれました。

人は誰もが死を迎える、一人ひとりの人生があるように、死への向き方も一人ひとり違う。「告知」も、病名を告げるだけでなく、医師と患者が目を合わせ、がっちり握手を交わす、非言語的コミュニケーションもある。

最期を患者と一緒にたたかい、患者の死の覚悟をみつめることが、患者自身が死を受け止められていくことだと。研修医に「ガイドラインはないか」と質問されるが「人生に、ガイドラインはない」最期まで家で家族とくらしたいという患者その人に向き合うことの大切さを話されました。
 
 
午後は6分科会(看護・検査・保育・精神・地域医療・在宅)
医療政策要求や、職場の運動・活動を大いに交流

午後は、分科会毎に国の政策から生じている問題を改善させるための政策要求や職場の運動を交流やレポート報告しあいました。

(1)看護分科会「長時間夜勤を規制する流れに」
看護職員の労働実態調査結果は慢性疲労が7割を超え、健康不安は6割を超えている実態。さらに妊娠時の順調は2割しかなく、切迫流産は20年前より10%増加。3割を超える実態が明らかに。

また16時間以上の長時間夜勤が急激に増加。国際基準並みの労働条件の確立が急がれ、日本医労連がまとめた「長時間労働・夜勤規制に関する提言」、「ILO条約」学習リーフを職場の運動に生かしていくことが強調されました。

日本医労中野千香子中執・看護対策委員会事務局長をお招きし「働き方もOECD並みに~国際基準を職場に生かし、ゆとりと誇りを持って働き続けよう~」をテーマに講演。他の病院の労働条件の実態を交流し、16時間連続夜勤の有害性を広げ、働き続けられる労働条件改善と大幅増員の運動の必要性を実践から学びました。

(2)検査分科会
「問題提起」は、医療の診断や治療に必須のものであり、必要な検査を必要な時に速やかに実施し、質を確保することが重要な課題であり、診療の障害や患者の不利益につながることが強調されました。

採血・チーム医療・臨床支援の課題について各病院の取り組み状況を報告し、各実践レポートや職場からのレポート報告、検査アンケート結果から幅広く意見交流を深めました。

(3)院内保育分科会
院内保育所は、医師・看護師の確保対策として、大きな役割を果たしており、厚生労働省は2年連続で院内保育所の補助金が引き上がる等院内保育所の役割は重要になっている一方で委託も増えていることから院内保育所のあり方の論議を提起。

今回はワークショップとして、身近にあるものを使って、一緒にオモチャを作ろうと『遊研所』のオモチャインストラクターをお招きして、身近なものを使って一緒におもちゃを作り実際の保育にも生かすものとなりました。

24時間保育や夜間保育の実態交流を行いました。公的保育から、委託、企業運営など保育現場が様変わりし、それに伴って保育の在り方、親との関わり、労働条件が改悪されてきており、条件改善を求め続け、よりよい保育と院内保育所の役割について交流を深めました。

(4)精神分科会
 国の精神病院の囲い込み医療による社会的入院からの転換で、入院医療から在宅医療へと流れが進む中、精神に障がいを持った人がその人らしく暮らせる地域づくりをすすめるため、地域内連携や病院と地域連携の役割について討論を提起。知多南部障害者地域生活支援センターから退院促進事業をきっかけにした地域生活支援環境づくりについて、退院までの課程で問題になったことなど示しながら、長期入院者が地域で生活するために大切な点を論議。
南知多からは、17名の退院支援の報告、精神面も身体面も支える地域の連携システム、地域ネットワークの充実について今後の期待が話されました。東尾張からは、退院援助プログラムについて、グループで退院支援に関わり、病気を受け入れ地域生活が送れるようになった事例が報告。日本医労連精神部会長・氏家憲章氏からは精神医療保健福祉の現状と今後、展望についての講演に理解を深め合いました。

(5)地域医療分科会
国の医療制度改革・改悪により、医師不足をはじめとした医療・介護分野のマンパワー不足は深刻。とりわけ、地域医療に大きな影響をもたらす「公立病院改革ガイドライン」にもとづく「公立病院改革プラン」は計画に基づき病院再編・縮小を余儀なくしています。

医療崩壊の進行を地域の運動から県段階や全国の運動へと大きな流れを作り上げ、国の政策変更へと流れを変える取り組みが重要であると提起。国民医療研究所牧野忠康所長を助言者に、「地域医療をめぐる情勢」についてミニ講演を持っていただき、自治体・公的病院を衛(まも)ることは、地域を衛る運動である。保健・医療・介護・社会福祉の地域ケアネットワークをつくる地域づくりの運動が重要と指摘されました。

参加者からは地域住民の運動報告、県立病院を守る運動、社会保険病院存続運動の病院を守る運動についてのレポート報告、各病院の実態報告と話し合いました。

(6)在宅医療分科会
「問題提起」は、国の「医療構造改革」のもとで、入院の短縮化、病床数の削減、高齢者医療の再編など、在宅医療に重点をおく流れから、医療ケアが必要な状態で退院になるケースが多くあります。

病院から地域へということ自体は間違っていることとは言えず、現に病気になっても最後まで住み慣れた家で過ごしたいという希望は患者さんの大きな願いです。患者さんの願いに向き合い、在宅療養の実践レポート報告を受け、問題点や悩みを共有し合い、安心して医療や介護を受けられる環境づくりのために何が課題となるか話し合い、事例をまとめることの大切さを再確認しました。

<愛知医療研の参加組合及び「施設・事業種別」施設数>
   分科会名    参加数 組合数  その他の事業所数 合計
(1)看護分科会   17名 9組合    個人加盟2,  11病院 
(2)検査分科会    5名  4組合 個人加盟1,   5病院
(3)院内保育分科会 21名  8組合   3未加盟病院  11病院
(4)精神分科会   26名   3組合    3未加盟組織   5組織
(5)地域医療 14名 7組合  1未加盟組織 6病院
(6)在宅医療 9名 3組合 2未加盟組織 6組織

参加組合及び医療研にご協力頂いた組合 ありがとうございました

全医労・名古屋、全医労・東尾張、全医労・豊橋、国共病組名城、国共病組・東海、済生会、健保中京、自治労連・豊橋市民、自治労連・半田市民、春日井市民、自治労連・新城、名市大、なごや福祉施設協会、南生協、みなと生協、名南会、北生協、尾張健友会 民医連事務局、南知多

*福祉保育労、県職病院事業庁労組のみなさんのご参加もいただきました。
*未組織から24名の方のご参加がありました。

公開:2010年6月16日   カテゴリー: