愛知労働局と「看護の質の向上通知」で有意義な懇談
8/26、愛知県医労連は、愛知労働局との懇談を実施しました。愛知県医労連からは、鈴木委員長、西尾書記長、林書記次長、永井執行委員、全医労愛知地区協の長尾書記長、全医労豊橋支部の石川書記長が出席しました。 愛知労働局からは労働基準部労働時間課長、労働時間設定改善指導官が出席しました。
懇談の内容は、厚生労働省が6月17日付けで全国都道府県知事宛に『看護師等の『雇用の質』の向上のための取組みについて(5局長通知)』の発出した通知と、7月1日付けで都道府県労働局宛の通知について、愛知労働局の具体的な対応を聞くとともに、愛知県医労連として、実態や要望を伝えるものとなりました。
労働局労働時間課として県の医務国保課と共同で「企画委員会」の設置をめざし、医師会、看護協会、病院協会、医療法人協会に対し参加の調整を図っており、具体的には、(1)企画委員会を設置、(2)研修会の開催、(3)ワークショップの開催を考えている、と説明がありました。
労働時間等の改善は「労働時間改善コンサルタント」として社会保険労務士を配置し、県内9つの病院の実態を把握していくとし、病院の選定にあたっては、公私とりまぜモデル的な病院、地域性を考え医務国保課とも相談しながら選定していく予定。しかし、社会保険労務士といっても、医療労働の実態が分かるわけではなく、医療の研修会への参加や、本庁でも医療研修を2回実施し、医療労働の実態などを深めてもらっている、と説明がありました。
訪問・ヒアリングにあたっては、病院名は非公開とし、病院の労働時間管理者からの『ヒアリング』で、はたらく人の実態をつかんでいきたい。訪問には、労働時間コンサルタント、労働時間課長、労働時間設定改善指導官などより多くの目で実態をつかみたい、としました。ヒアリングについて、厚生労働省からは、1,夜勤・交代制勤務、2,労働時間管理体制、3,多様な働き方を可能とする環境の整備状況、4,業務の効率化に関する取組、5,その他(医師の勤務環境を含む)などの項目があるが、労働局として重点に考えている点についてたずねたところ、一般的に看護職のおかれた厳しい労働実態、離職状況が示されているが、『検討委員会』では労働局労働時間課と県がリード役を持ちながら「勤務形態そのもの」についての実態を把握し、意識の一致をはかり、『検討委員会』として、雇用の質が確保できるために、『好事例』、『いい職場実態』を広めながら、「雇用の質」の向上に向けた取組をすすめていきたい、と話しました。
愛知県医労連は職場実態として、夜勤実態調査の結果からも、夜勤回数は3交代で9日以上が6割にものぼり、10日以上が2割もあること、2交代では、5回以上が56%にものぼる実態を訴え、看護職員実態調査など資料を提示ました。
また、産休・育休、メンタル疾患などの休業で、夜勤体制が薄く、夜勤が慢性的に10日にものぼること、夜勤人数の体制は2人体制では患者の急変、不穏な対応で、優しい看護実践ができない、休憩も取れない。日勤者の終了時は20時、21時などが常態化し慢性疲労を抱えている。看護師が辞めないで働き続けられる労働条件の改善が急務であり、増員が必要な医療現場の実態を話しました。労基法、看護職員確保法、労安法など様々な法律を駆使して、認識の一致を図って欲しいと求めました。こうした看護労働の実態に対して、真剣に話しを受け止める姿勢があり、様々な法律を生かしていきたいとしました。
また「労働時間管理者」について、看護記録や患者の状態把握のための勤務前、勤務後の残業が実質はサービス残業になっている実態があること、新人には1年間残業をつけさせていないなどの実態もあり、「労働時間管理者」であろう人たちが、労基法を理解していない場合や、違法実態もままあり、病院管理者や「労働時間管理者」に対し、労基法の指導と遵守の必要性があると感じていることを述べました。このことに対し、「労働時間管理者」に意識を持ってもらうことが大事だと考えていると話しました。
愛知県医労連は、県内で唯一の医療の産業別労働組合であり、国立、公的、大学、自治体、民間など全体を網羅し、43組合1万1千人を組織している。加盟施設の使用者とも離職防止・定着対策の懇談を毎年開催し、また毎年夜勤実態調査にも取り組み、働き続けられる実態をつかんでおり「検討委員会」への医労連の参加を求める要望書を提出しました。この件については、要望書を預かるという対応にとどまりましたが、今後に向けて、看護職員等の労働条件改善は一致した課題であり、双方の情報提供による懇談は必要であるという立場が示され、立場を超えて努力をすすめることが重要であるという認識のもと、90分の有意義な懇談を終えました。