労働時間短縮・夜勤の負担軽減へ
日本医労連は看護師の夜勤交替制労働の改善を目指す国際シンポジウムを9月6日、東京・星陵会館で開催し全国から319名が参加しました。愛知県医労連からは7組織12名が参加しました。国際シンポの開催は15年ぶりです。
シンポジウムは、フランス、オーストラリア、韓国、日本の各国とILOから報告し、大原労働科学研究所の佐々木司氏がコーディネーターを努めました。フロアー発言は全日赤、KKR札幌過労死裁判原告、愛媛県医労連が行いました。
フランス労働総同盟医療福祉労連の執行委員フランスワーズ・ゲングさんは、「フランスは週35時間労働だが健康や家庭生活に及ぼす夜勤の悪影響を訴え、労働時間短縮を勝ち取り12間以上の夜勤は規制された。夜勤看護師は慢性疲労、睡眠不足、うつ病やストレス、乳がんにかかるリスクが高まり勤務を短くする必要があり、何年も続けるのは危険だ。夜勤専門は反対している。」と指摘しました。日本が16時間夜勤が行われていることを聞き、「あきれてしまった。信じられない。」と驚きの表情を示しました。
オーストラリア看護師助産師連合のニコラス・ブレイクさんは、「キャンペーンを展開し国民世論を味方につけ1990年代から病棟や夜勤・日勤ごとの『患者対看護師の配置基準』の要求を実現し、看護師の離職の防止と医療サービスの向上に」つなげた。一般病棟の夜勤では、看護師1人に対し患者8人の基準が設定されており、この基準に満たない場合は病床数や看護の業務を減らすことが義務付けられている。」と報告しました。また、世界の医療費削減の動きを跳ね返していこうと力を込めました。
韓国保健医療労組のハン・ミジュン書記長は「6割の看護師が離職を考えており、職場では『妊娠順番制』が今も存在し『戦争のような夜勤』と呼んでおり看護師不足や夜勤の長時間労働の現状は日本と共通している」と報告しました。
日本医労連の看護師の清水明子さんは、日本医労連が取り組んだ看護職員実態調査を示し、2交代の医療施設は32%を越し、仕事から仕事までの休息時間は短く慢性的疲労やストレスを感じ、辞めたいと考えている人が6割いると指摘。
ILOのクリスチャヌ・ウィスコー作業部門別活動局専門官は、「看護師自身が自分の持っている権利を理解していないことや、自分の健康を犠牲にして患者のケアを行ってしまうという実態がある。国民を味方に引き寄せ、声を大にして看護労働の状況を語ってほしい。安全な医療提供のためには長時間労働に看護師自身が『ノー』ということが必要だ。」と話しました。
コーディネーターの佐々木氏は看護師の健康が害していることは明らかだと示し、「ウェイク・アップジャパニーズナース!」と題目し、目を覚ませ、奮起せよと呼び掛けました。
フロアー発言したKKR札幌病院で新人8カ月にして過労自死したお母さんの話しに各国の代表から哀悼の意が表されました。
各国共通して労働時間やインターバル規制に罰則がなく労働条件が守られないこと、不払い労働はどの国も課題であることが示されました。集会では「国際連帯を強く求め、国民の保健衛生向上と労働時間短縮。夜勤の負担軽減を強化し、看護職員が働き続けられる条件をつくろう」と国際シンポジウム共同宣言を拍手で採択しました。