【16.12.23】秋闘速報21 県民のいのちを守れ!愛知県交渉実施

 
12月26日(月)10時~12時まで愛知県自治センター研修室を会場に愛知県医労連の提出した県知事あて「安心でゆきとどいた医療・看護・介護を実現するために医師・看護師・介護重視者の確保対策・勤務環境の改善強化等を求める要請書」に基づく愛知県交渉を実施しました。愛知県医労連からは西野委員長をはじめ執行委員や各組織代表ら11組合22名が参加しました。愛知県からは健康福祉部・医務国保課看護・医療指導担当主幹を筆頭に各課から12名が参加しました。

はじめに愛知県医労連西野委員長から「愛知県の『意識調査』で働き続けるための課題が明らかとなり取組に敬意を表します。看護師も介護士も患者・利用者に寄り添っていきたい。人員不足の中でやりがいのある看護や介護ができないと思い悩んでいる。介護現場の1人体制の夜勤では『介護』ができない。心が折れていく。働く中で心身共に疲れている。現場の実態を聞いて県の施策を充実していただきたい。」とあいさつしました。
 
交渉では、(1)離職を止める勤務環境改善、(2)需給見通し・養成・復職支援・就学金、院内保育所、特定行為、医師確保、(3)介護従事者の離職・確保対策、(4)医療介護総合確保基金の大きく4点の課題で話しました。愛知県医労連からは看護職員夜勤実態調査の結果(愛知県版)や秋に調査した加盟組織の病院の36協定特別条項の結果、介護施設の夜勤実態調査の結果を説明しました。
愛知県が取り組んだ『意識調査』の「夜勤回数」の回答が「月平均の夜勤回数が「1~5回」は7割弱」とした回答結果が「勤務形態」が「2交代制」も「3交代制」も含めての回数であることが分かり、愛知県医労連は「現行の調査では夜勤回数の正確な数ではなく意味をなさない。3交替、2交替の夜勤回数は別に算出しなおすべきだ。」と指摘し、正確な夜勤回数を出すよう求めました。
交渉団からは、各職場の厳しい実態を次々と訴え、県の看護師確保の施策の充実を要求しましたが、愛知県は「県独自の調査や対策検討は考えていない。新たな基金ができた中で、院内保育所予算やナースセンター予算など一部財源を増額し施策の拡充を行っている。全体予算は従来からの継続予算を確保することでいっぱいの状況。」「愛知県の看護職員養成数は多く、さらに県内就業率も高く国の看護師確保対策の動向を見据えて施策の充実強化を検討している。」との回答にとどまりました。
介護の課題では愛知県は「1人夜勤は国の基準で定めてあり県として変えるのは難しいが1人夜勤をさけるよう指導はしている。夜勤職員配置加算(小規模は対象外となる場合が多く)を国に見直すように求めている。」と1人夜勤の実態には懸念は示しつつ、容認せざるを得ないとしました。人材確保について「愛知県福祉・介護人材確保対策予算を拡充している。」と回答しました。個々の実態調査については取り組む予定はないと回答しました。介護の課題は担当官が現場に実際に行っており実態はよく理解されているという印象はありました。
交渉の最後に愛知県健康福祉部看護対策グループ主幹より「貴重な意見をいただき感謝。私も看護師夜勤の経験がありその辛さわかる。安全な医療が遂行できるよう寄せていただいた意見を行政に反映できるよう努めていきたい。」とまとめのあいさつがありました。
今回の交渉では、看護職・介護職員の医療職場の夜勤回数問題や長時間・超過勤務問題など勤務条件の改善問題も愛知県としての実態認識と改善に向けた施策の充実を要求しましたが、「医療勤務環境支援センター設置をして取り組む」ことのみで、厳しい勤務実態の理解や認識の受け止めと改善に向けた具体策への不十分さを感じました。引き続き愛知県に対し、医師・看護師・介護職員確保対策と地域医療対策の充実強化に向けて要請していくとともに、運動を広げていくことが大切です。

各参加者から切実な実態を訴えました。

・「ストレスチェック実施し、市の他の課と比べると病院がダントツの高ストレスで病院の中でも看護師の高ストレス者は多いことが分かった。夜勤回数は3交替で月9日以上が6割にものぼる。多い部署は夜勤11日が60%にものぼっている。ワークライフバランスを超えている。」
・「夜勤がもたらす体のしんどさを理解していない。夜勤体制が不足しており体制がいない。」
・「夜勤9日当たり前みたいになっている。夜勤に伴うストレスは相当なもの。看護師の判断が患者のいのちに関わることを実感する。若い人は過酷さの中でやめていく。夜勤体制がなく土日はほどんど夜勤にならざるを得ない。看護師を抜本的に増えないと改善されない。」
・「病欠者もおり夜勤は2交替で5回以上。日勤も手が薄くなる。16時夜勤は朝方になるともうふらふら。看護師の仕事は患者に向き合うストレスが高い。夜勤という特殊性を鑑みた対策が必要。40代50代の2人が乳がんにかかった。科学的に夜勤は有害であり、対策を。」
・「60歳になっても月8日の夜勤をしている。看護師1人ひとりがどういった働き方をしているのか継続した調査を行っていってほしい。」
・「タイムカードがなく労働時間管理があいまい。タイムカードの設置の有無、出退勤の把握、残業時間など県としても調査してほしい。」
・タイムカードはるが打刻と実態がかい離しているということで労働基準監督署が調査に入った。それ以降も変わらない実態がある。タイムカードを押してから仕事をしたり、新人は残業つけられない圧力がかけられている。あなたの能力ならできるでしょう?と管理職に圧力をかけられている。使用者だけの対応に終わらせず、県として実態をつかんでほしい。長時間、労働時間があいまいな実態が医療事故につながっていく。」 
・「県の修学資金不十分と認識。県の返金のミスは非常に残念。このことをきっかけに削減されてはいけない。もっと拡充していってほしい。
・「介護士として3年働いたが自分の希望で取った有休はいちどもない。休みもすくなく、夜勤も長く慢性的に体の疲れが残っており休みでも休んだ気がしない。介護の仕事が好きだから。働き続けられる施策を考えてほしい。」
・「介護士は院内保育所も利用できない。賃金も低く、1人夜勤で日曜日も働いて。これでは家族を守れない。使用者は重症な人をとれというが、公休すら取得できず翌月に繰り越す状況で、人手がなければできない。」
・「介護現場は人手がいないから安易に外国人に頼る施策には反対。受け入れている現場は人手がない中で教育にも大変な労力が必要。」
・地域医療構想について、東三河北部医療圏の病床が減らされることへの懸念がある。医師看護師確保の施策が重要。」
・「医師不足により病院の稼働率が下がり、建て替えの許可もおりない。収入の関係で時間外請求の歯止めもあり人も定着しない。県はアンケートとったというが、現場の実態をもっと真摯に見てほしい。予算をつけて欲しい。」
・30年看護師をやってきた。複数月8日夜勤を求めて運動してきた。確保法ができても自治体病院は除外とされ、食いしばってやってきた。7対1看護体制となり、地域の中で看護師の争奪戦となり、国の施策で現場は振り回されている。7対1となり看護師が増えたが、うちの病院は厳しくて来てくれない。常に欠員状況にある。やはり夜勤が問題。パートは夜勤はやれないから。夜勤を規制する整備がどうしても必要。定年まで働き続けるためには夜勤問題は避けて通れない。毎月11日、12日も夜勤をやる状況、2日に1日は家にいないという状況を考えてみてほしい。家族にも負担をかける自身も辛い。国の責任と置き換えず愛知県としてしっかりとしてほしい。

公開:2016年12月22日   カテゴリー: