よりよい介護、その人らしい くらしの実現をもとめて
「認知症になっても家で暮らしたい」
~その願いを叶えるヘルパーの力~
4/14(土)、労働会館にて、第8回ヘルパーセミナーを開催しました。ヘルパー、ケアマネ、看護師等、37名が参加しました(7組合27名・未組織10事業所10名)。記念講演は、「認知症の人と家族の会」代表理事の鈴木森夫さん。会の38年のあゆみに始まり、介護保険改定の影響や、「軽度者」と言われる要介護者も3人に1人が認知症であり、ギリギリの生活状況であること等を話されました。
特に強調されたのは、ヘルパーの「生活援助」の有用性です。個別的な対応を通して利用者の「生活・生命」を支え、生きる意欲を引き出すことができる。さりげない食事の工夫により、服薬の課題をクリアする等、「生活変容」を目指す働きかけが可能であると、ヘルパーの仕事の重要性を強調されました。
講師の鈴木森夫さん
ヘルパーの生活援助切り捨ての動き
2018年度から、身体介護に比べ生活援助が引き下げられる
ことや、要介護度別に生活援助の回数上限を定め、この基
準を上回るケアプランの届け出が必要となる、「事実上の
回数制限」の話にも触れられ、「この回数制限案が通れば、認知症や独居の人の在宅生活
はますます厳しくなる。基準回数以上のケアプランを立てれば、地域ケア会議での検証が必要となり、その会議には本人・家族やヘルパーは参加できない。意見を述べることもできない。」と批判されました。厚生労働省が、この回数基準案について、パブリックコメント(意見公募手続き)を募集していることに触れ、「ヘルパーの立場から、“回数制限納得できん!”だけでもいいからパブコメを出してほしい」と参加者に訴えられました。
講演後はしゃべり場で情報交換・感想交流
後半は参加者どうしでの意見交流。記念講演を聞いての感想では、「今日の話を聞いて、生活援助も大事なんだとわかった。」「仕事に誇りが持てた。」「生活援助が軽んじられていると思った。」等の感想が出されました。また自己紹介とともに「ヘルパーの仕事は一人なので先輩の仕事を見て真似ることもできない。一人で支援に入る大変さがある。」「賃金が上がらず、自分の車で行くので大変」「認知症の方とも昔の話でコミュニケーションが取れると楽しい」等、それぞれの仕事での悩みや、大変な中でもやりがいを感じている様子が語られました。ヘルパー以外の職種からも、「いつもヘルパーさんからの情報で救われている(ケアマネ)」「生活援助は説明しにくいが、病院のカンファレンス等でいかに言葉にして伝えるかが大事(ケアマネ)」「医療ではその人のリズムに合わせて・・・とは中々できないが、1対1で関わるヘルパーの役割は重要(看護師)」など、ヘルパーの仕事の素晴らしさや、応援メッセージが出されました。中には、「色んな悩みがありヘルパーはもう辞めようかと考えていたが、今日色々な人の話を聞いて、このままでいいかなと思わせてもらった。励まされた。」と転職を踏みとどまった方もいました。「介護職は賃金が安い。もっと上げろと数の力で国に言っていきたい」と労働条件改善への決意も語られました。
最後に講師の鈴木さんは、「ヘルパーはつながりにくい仕事だが、こういう場で、仲間がいると思えることが重要。大変な思いをしているのは自分だけではないとわかると、物事は解決していなくても一人ではないと思える。」とこうした集まる場の重要性を語られました。また、「家事は無償だというのが日本の慣習だが、生活援助を認めさせることができれば大革命!」と、厚生労働省の改悪案に対して、意見を述べていくことを勧められました。ヘルパーの皆さんは、普段はそれぞれの場で一人で仕事をしていますが、こうして集まって悩みや思いを共有し合える労働組合の大切さを感じられる会となりました。