大切な命を守るため、地域とともに安全・安心の医療・介護を創り出そう
愛知医療研 映画「ケアニン」
“あらためて仕事の大切さに気づけた”
2018年5月20日(日)第36回愛知医療研究集会が開催されました。はじめに、司会の島崎副委員長より医療研の意義が語られ、基調報告を西尾副委員長が行いました。午前の映画「ケアニン」上映会は109名が参加。午後は5つの分科会が行われ62名が参加し、15組織81名(ユニオン14名・書記局6名含む)、未組織43名(10事業所)で総勢124名が参加。普段の仕事を振り返り、明日からの活力が得られた集会となりました。
映画ケアニンは、小規模介護施設に就職した新人介護職の成長を通して、認知症介護、家族の葛藤、最期まで生きる支援をする看取りの大切さなどが描かれ、感動的な映画でした。映画を観て、「あらためて自分の仕事の大切さに気づけた」「介護は特別なことではなく人として支えあう当たり前のことなのだという言葉が印象に残った」「介護施設に就職して一か月。介護とは・・・と戸惑いながら仕事をしている中、映画を観て今後に生かしていきたいと思った」「ターミナルケアについて考えさせられた」「もっともっと多くの仲間に見てほしい」等の感想が寄せられました。上映後には、エグゼクティブ・プロデューサーの山国秀幸氏より、この映画を作ろうと思ったきっかけや、幾つもの介護施設を取材してリアリティが出るよう練り上げたこと、どんな人でも感情移入しやすいように工夫したこと、俳優陣の「これは自分の映画なんだ」という熱い思い、ケアニンのスピンオフ作品やケアニン2といった次回作の構想も聞くことができ、より映画が深まりました。
「働き方改革」法案の撤回・廃案を求める
開会あいさつで島崎副委員長は、「医療研究集会では、仕事における悩みや、医療や福祉制度の問題を話し合い、どう改善していくか議論する場。映画だけでなく、午後の分科会にもぜひ参加して、活発な討論を」と呼びかけました。
基調報告では、西尾副委員長より、看護実態調査に触れ、働く人たちの労働環境を改善させる重要性や、仲間を増やして良い医療・福祉の職場にしていきたいと話がありました。
また、来週にも衆議院で採決がされようとしている「働き方改革」法案は、過労死を助長する「高度プロフェッショナル制度」をも一括で含むものであり、断じて許すことはできないと強調。採決は行わず、ただちに撤回・廃案とすることを求める要請書を内閣総理大臣と厚生労働省に出していくことを確認しました。
元気の出る分科会
分科会では、講師はじめレポート報告で豊かな実践活動が集団討議でき、問題意識を共有し、明日からの仕事のモチベーションを高める内容となりました。参加者のみなさん、講師・レポート報告をしていただいたみなさん、運営協力をしていただいた執行部のみなさんありがとうございます。お疲れ様でした。
今回はテーマ別に、?食事介助、?院内保育、?医療・介護制度をよくしたい、?働き方改革~労働者側からできるアプローチ~、?精神医療、と5つの分科会を開催しました。
【分科会内容】
●第1分科会:14名が参加。みなと生協労組の摂食嚥下障害認定看護師の近藤奈美さんを講師に、「口から食べる支援」について学びました。まず摂食嚥下の基礎についての知識を学び、その後ペアになって、安全・安楽な食事介助方法について実践的に体験しました。後半はグループに分かれて、参加しての感想や、日頃の仕事での食事に関する悩み等を交流。看護師、介護職、栄養士、調理師の多職種で意見交換できました。参加者からは、「食事の際の姿勢、スプーンの大きさ、食物を見せてから介助する等初めて知った」「実践を交えてわかりやすかった」「今後は口腔ケアについてもやってほしい」と感想が聞かれました。
●第2分科会:15名が参加。日本医労連の八木沼菜穂さんから「大切にしたい院内保育~院内保育所実態調査から見えてくる実態と課題~」を学びました。「保護者の環境までみていなかった。」「声をあげることで変えることができる。」「交流することの大切さが分かった。」「仲間がいて笑って、言える場があるって大事。」「子育てしやすい社会に。」と感想が出されました。
交流では、「夜勤体制が組めず、子ども3人に対し保育士1人で、トイレ・休憩どころではない。」「夜勤は無資格者1名…。」「上司のパワハラで辞めないで働いてきたのは子どもに(保育所は)選択できないから…」「子ども長時間預けっぱなしといった状況が気になる」など深刻な実態が浮き彫りになりました。最後に石川淳子副委員長から『保育士の健康と子どもの安全は同一。意見交換をして要求にして解決していこう。』と助言。「今後の方向性に役立てたい。」「他院の実態や意見が聞けて良かった。」「励まされた。」と意見交換が深まりました。
●第3分科会:政府が社会保障費の抑制を進めるもとで、患者・利用者・国民は負担増と給付抑制に悲鳴をあげています。第3分科会では、病院から在宅への流れをつくる「地域包括ケアの実態」、利用者・事業所からの批判が挙げられている「2018年介護報酬改定」、保険料滞納者から受療権を奪う「国民健康保険制度問題」、そして自分の住む地域での入院を困難にする「地域医療構想問題」についてそれぞれ報告を受けながら、社会保障制度の後退によって生じている具体的な事例を学び、医療・介護の充実を求める国民世論を築いていこうと話し合いました。4つの特別報告があり、12名が参加しました。
●第4分科会:「働き方改革」~労働者の立場からできるアプローチ、と題し愛知健康センターの高垣事務局次長を講師に12名が参加。
講演では過労死の傾向として若者が多く、メンタル、自死が増える傾向にある。予防策が大事で学校でワークルールを学び過労死家族の話を聞くとりくみを広げている。職場では労安活動の強化が必要だが、担い手を増やすため労基法や労安法などを学ぶしかない。スウェーデンでは人口の1/8が衛生管理者の資格をとっている。7月の「衛生推進者養成講座」
を活用してほしい、と話がありました。
レポートで豊橋市民病院支部の中川書記長が労安委員会を活用して当局に残業、夜勤回数、ストレスチェックなどの資料を出させ、始業前残業や休憩時間を残業代支給させている例など報告されました。
●第5分科会:「患者中心の精神医療」をテーマに、11名が参加。
日本医労連精神部会長・東さんより、「ベルギーの現状から日本の精神医療を考える」との題で講演がありました。講演では日本とベルギーを比較し、日本の精神医療福祉の遅れを指摘。「ベルギーの精神医療は、入院は比較的短期が多く、地域に戻って地域で暮らし、地域ぐるみでサポートしている。日本の長期に渡る社会的隔離(入院)は「人権問題」。諸外国からの非難がある。日本ではまず“政治運動”が必要。」と話しがあり、「無理かもと思った時点で改革は成し遂げられない。感想や愚痴で終わらせず、前に進もう!」と呼びかけました。
未組織の方からも大勢の参加 1名加入!
愛知県内の未組織の病院・介護施設にも案内を送り、病院・介護関係者他、一般の方から43名が参加しました。映画「ケアニン」への関心の高さが伺えます。また、分科会にて医労連共済の魅力を紹介し、加入を呼びかけたところ、未組織事業所の介護職1名の個人加入がありました。
託児も設置! 6名利用
保育士さん2名にお願いし、託児を設け、2才~7才の6名が利用しました。若い看護師さんからも、子連れで参加できてよかったと喜ばれました。
全体の感想
◆午前の映画も良かったし、午後は興味のある勉強会を5つの中から選べるのがよかったです。
◆毎回素敵な企画ありがとうございます。私の中で年1の行事になっています。
◆新たな場を得られ(個人組合に加入)、自分みがきにも成長させられるし、仲間にも広げたいと考えています。
◆人と人のつながりがあり映画が出来てすばらしい。私が大切にしてる人との関わり、これからも大切にしていきたい。
◆他で色々頑張っている話も聞けたので、自分もできることをやっていかねばと思いました。