10月22日に公益社団法人 愛知県看護協会と懇談を行いました。懇談は看護協会会議室で予定の1時間を超えて行われました。愛知県医労連からは看護師4名を含む14名が参加し、愛知県看護協会は鈴木会長、高木専務理事、小池常務理事、大藤常務理事、和久田常務理事の5名の役員からご対応いただきました。
鈴木会長からは、「看護協会も医労連も、働きやすい職場環境作りという目的は同じ」と歓迎の挨拶がありました。会長は、働き方改革でインターバル規制の努力義務が盛り込まれたことに関し、「インターバル規制は元々法律になく、法律として規制したいとずっと言ってきた。私もずっと労働組合員で、夜勤回数や、妊婦・産休あけの夜勤免除、日曜の勤務制限などずっと活動してきた。」「夜勤そのものが負担だがやらなければならない。どう負担しあってシェアしていくか、共に考えて頂きたい」と要望がありました。
医労連の林書記長から「夜勤実態調査結果」の結果や、夜勤改善署名が国会質問にも繋がっていること、労働局や勤務環境支援センターと懇談したこと等の活動を紹介。杉本綾さんが労災認定をされたことに触れ、二度とこういう看護師を生まないように、働き続けられる、過労死させない環境を作っていきたいと表明がありました。
現場の看護師の実態
参加した看護師から、現場の実態や看護協会への要望・質問が出されました。
豊橋市民病院の中川看護師から、「夜勤を9~11回行っている部署もある。11回の夜勤は生活を壊す。準夜帯で休憩が取れない。ストレスチェックも高い。」と過酷な実態を報告。
名市大の塚本看護師からは、「12時間夜勤が検討されているが、他院では評判が悪いと聞く。ロング日勤が子育て世代には不評。新人が入職してくれるよう手当を増やしても、今いる中堅が辞めては意味がない。」と実情が語られました。
池田執行委員からは、「他県では看護師確保を工夫する中、愛知県は看護修学資金貸付制度を廃止しようとしている。人口10万人あたりの看護師数が少ないのに、病院任せで県として努力しないのはどうなのか。」と制度維持の要望が出されました。
看護師めざす人を確保するための活動
鈴木会長からは、「人口減の中、いかに看護師を志望する人を増やすかが課題」と話があり、子どものイベントで白衣を着てもらったり、看護師の魅力を伝える場を工夫していると紹介がありました。県からの委託で高校生1日体験に毎年取り組んでいるが、そこから8割が実際に看護師になっており、大事にしたいと話がありました。
看護師が減っては地域医療守れない
看護協会の理事より、「11時間の勤務間インターバルや、夜勤の72時間制限など、科学的根拠に基づいており、もっともだが、現場の師長も看護部長もわかっていてもできないジレンマで苦しんでいる。それに対して看護協会で何ができるか・・・WLB研修には参加してもらっていても解決できない問題がある。」との悩みも出されました。また、大学病院で人事担当をしていた理事より、看護師の人材紹介業者について、「一人紹介すると100万円取る業者もあるが、入っても3ヶ月で辞めていく。(修学資金貸付制度では)修学金を出せばどれだけの看護師が増え、定着するかというデータがあるといい。予算を獲得するには、成果データを見せていく力が必要。病院も経営が厳しいが、看護師が少なくては地域住民を守れない。」との話がありました。
看護師の数だけでなく、「なぜ必要なのか?」
鈴木会長より、「訪問看護の看護師も一人に対する負担が大きく、休みが取れない、研修に行けない現状。訪問看護の看護師を増やし、研修が受けられるよう協会として重点化している」との取り組みが報告されました。
また、地域医療構想について、「会議に参加しているが、ベッド数の検討はあるものの、そこに働く人が何人必要かまでは考えられていない。頭数だけでなく、なぜ看護師が必要なのか、違う評価の形はないか?一緒に協力をお願いしたい。」とのお話しがありました。
特定行為について、「医師の下請けになってしまうことが心配」との質問を受け、「看護師・介護職のフィールドがきっちりあるか、個人的には心配。基礎教育を一緒にしようかという議論もあるが、私たちはこういうことができるんだと示していく必要がある。医師の下請けではなく、看護師としてこういう役割を持っているんだと自信を持って言える看護師を育てないといけない。」と話されました。
ともに知恵を出し合って乗り切ろう
会長より、時間外労働について、「WLBで検討しているが、特効薬がない。管理職の教育など、いかに時間外を少なくするか考えているが、3交替・2交替の単純勤務では乗り切れない。看護は管理者が少ない。心の悩みも支えられるような環境を作っていきたい。」と悩みが話され、「昔は組合といつもやり合いしていたが、今はそういう時代ではない。労働組合とともに考えないと乗り切れない。ともに知恵を出し合ってやっていきましょう」と今後も、友好的な関係を作り、お互い協力しあって、看護師がいきいき働き続けられる職場環境にしていこうと確認しあって懇談を終えました。