2021年5月12日 看護の日
愛知県医療介護福祉労働組合連合会
執行委員長 渡邉 一(まこと)
政府は、5月7日に3回目となる緊急事態宣言について、対象地域を拡大して5月31日まで延長を行った。愛知県に本日より緊急事態宣言を出すとともに、まん延防止重点措置の対象地域についても範囲を拡大した。菅首相は記者会見で「国民の協力により、人流の抑制が図られた」としたが、感染者の減少にはつながっておらず、重症化が著しい変異型に感染しながら、必要な入院治療が受けられず亡くなる方が増加している。また、いのちの選別となるトリアージが行われる深刻な医療崩壊状態にある。
感染者の抑制につながるワクチン接種では、高齢者に対する先行接種が各地で始まっているが、予約ができないなどの混乱が後を絶たない。医療従事者への接種すら24%(5月10日現在・2回目終了者)にとどまる状態にある。すべての国民に行き渡る時期もわからず、多くの国民は不安を抱えながら自治体からの連絡を待っている。そんな中で、オリパラ参加予定の選手などに対するワクチン提供が公表された。IOCは安心・安全な大会開催に向けた措置とするが、ワクチン接種の時期もわからず不安をかかえる国民からすれば、国民のいのちよりも五輪開催に血道を上げているとしか見えない。
政府は、感染予防のために密を避け、人との交流を抑制するように飲食店などの営業自粛を求めているが、一方で聖火リレーを始めとするオリパラ開催に向けたイベントを次々と開催し、人々の耳目を集めている。五輪開催に向け医師200人、看護師500人のボランティア派遣も求めている。このようなちぐはぐな政策が、国民に誤ったメッセージを発信している。ただちに国民のいのちを守るため、医療崩壊を食い止め感染拡大を止めるために限られた医療資源を新型コロナ感染対策に集中すべきだ。
愛知県医労連は、「コロナ禍からいのちを守る」ため活動を進めてきた。#看護師の五輪派遣は困ります と4月28日から呼びかけたTwitterデモは、45万人を超えるツイートに広がり、医療現場の労働者から、悲鳴と呼べる切実な声が多く寄せられている。私たちの大切な家族・隣人、そして世界中の人々のいのちを守るため、政府に対し、東京五輪の開催ありきではなく、国民のいのちを守ることを最優先に、医療崩壊を食い止めるため、新型コロナ感染対策に全力をあげることを強く求める。
以 上