看護職員の労働実態調査は、日本医労連が約5年に1度実施しているもので、今回は2022年10月1日~12月22日の期間で実施しました。
全国の調査集約数は3万5933人(前回3万3402人)、そのうち愛知県は24病院(大学病院2、自治体病院6、公的病院8、民間病院8)から4981人(前回3919人)の調査用紙を回収しました。(配布数9815人に対する回収率は50.7%)
調査結果では、「辞めたいと思う」看護師が前回7割から8割に増加、慢性疲労7割、パワハラ2割から3割に増加など、看護職員が長時間・過密労働によって疲労が蓄積し、心身に大きな負担が生じている現実が改めて明らかにされました。
【看護労働実態調査結果】
【要請書提出】
今回の調査結果をもとに、愛知県に要請書を提出しました。
【現場の看護師の声】
①私の働いていた病院では昨年4月に入職した新卒看護師の2割が1年未満で退職しました。新卒以外の退職も多く、今年4月の新採用ではその数を埋めることができていません。職場でクラスターが発生するとさらに人手が減り業務量が増え、残業も多くなります。新人を育てる余剰の人員など元々いません。働き続けられる環境作りが求められます。病院では、治療が優先されるため看護師は医師の指示の下で行う注射や処置などの「診療の補助」の業務が中心となります。一方、療養環境や体を清潔にしたり、食事の工夫など本来その人が持っている自然治癒能力を引き出す働きかけである「療養の世話」が後まわしになり、多くの看護師のやりがいが奪われ、学んで来たこととのギャップに「もっとこうしたい、でもできない」とジレンマを抱え心をすり減らしています。看護師の仕事は人に寄り添い支えるとてもやりがいのある仕事です。患者さん一人ひとりに寄り添ったケアが出来た時は本当に嬉しいものです。若い人が看護師をこころざし定着していけるためにも働き続けられる労働環境の一刻も早い改善が求められます。看護がきちんと評価され、配置基準を見直して看護師を増やし、心身への負担が軽減できるよう改善を求めます。
②病棟看護師より:コロナ陽性者の対応に人手を要し、人手不足で入浴介助が実施できず、職員で陽性者が出れば代わりに休日の職員が出勤したり、妊娠中のスタッフも臨時で夜勤を行ったりという状況でした。2交替16時間の夜勤では1人の看護師が最大16人の患者を担当し、胃ろうや吸引、夜間不穏で叫んでいる方、転倒など、夕食や仮眠が取れないこともあります。夜勤回数が多いと精神的にも肉体的にも疲労が蓄積し、自分が不健康になっていくのを感じます。看護は本来、患者のそばに寄り添い、一人ひとり異なった看護が展開され創造されていくもので、看護が持つ力は大きく、看護師はとてもやりがいを感じることができる仕事だと思っています。看護師に余裕がなくなり疲れてしまえば、看護の実践は不十分なものになります。ゆとりのある人員体制、ゆとりのある勤務、私生活も仕事も充実するような看護の世界が広がるように願っています。
③訪問・クリニック看護師より:看護師になって42年です。夜勤や、土日祝日の勤務も夫や義父母の協力が得られたので働き続ける事ができましたが、今核家族化していく中で、夜勤もやりながら家庭も持ちながら働き続ける事は大変です。夜勤交替制の健康リスクは科学的に立証されています。長期になるとがんや切迫流産のリスクが高くなります。どこの職場も、人員不足で、ギリギリの人数で日勤も夜勤も働かざるお得ない現状が慢性化しています。コロナ感染は、そんな状況に拍車をかけました。最近増えつつある長時間夜勤の2交替も、ストレス増強の一因となっています。命と向き合うこの仕事は、やりがいもあるけれど、緊張度も高い仕事です。そんな勤務が夜中も含めて16時間神経を集中させなければいけない。若い体力のある人でないと夜勤を続けられない現状が生まれています。看護師のやりがいは、医師の介助や機器の管理だけではありません。患者さんや利用者さんの気持ちに寄り添って、その人らしい人生を送っていただく援助、ありがとうの言葉が仕事を続けていくおおきな励みになります。どの年代の看護職員もやりがいをもって、長く働き続けられる環境を一刻も早く作りたい、それが私の一番の願いです。