「気づく力・整える力・聴く力・つなぐ力」のある伴走者へ
5月27日、第40回愛知医療研究集会を開催。オンライン併用で行い、46人(11組織)が参加しました。
記念講演は、レスキューストックヤード(RSY)の浦野愛さん。午後の分科会は認知症・嚥下・排泄ケアの3つの分科会に分かれて、感想交流や各分野での実技、実践交流をグループおこないました。
記念講演
役割・触れ合い・充実感・責任感が尊厳を守り、活力のある状態を維持
RSYの浦野愛さんの記念講演は「災害から一人ひとりのいのちとくらしを守るために、できることからはじめよう」と題して行われました。
【穴水町とのつながり】
2007年の能登半島地震から穴水町とのつながりができ、これまでの全国の震災や災害でも、穴水町社協から心のこもった支援物資をおくってもらうなど、継続的なつながりがありました。発災後1月3日から穴水町にかけつけ、地域をくまなく回って把握したそうです。
【被災地の様子】
避難所では、まずやったことはトイレの改善。トイレから汚物が溢れ返り、非常に不衛生な状態だった。ルールについては貼り紙をしていても見ていないので、口コミで広げるしかなく 避難所の部屋ごとの代表者を集めてトイレ講習会をした。それを続けると「私たちがトイレ当番します」という有志が現れた。避難者の方たちにも運営に参加してもらいました。
【避難者の状況】
避難所では、ゴミを分別する、汚れたら掃除するといった生活の感覚が低下していた。 生活不活発病が増加し、笑顔、協力、明るさが消える状況にあり、役割分担を避難者の中で決めてやってもらうのが有効で、動ける人は動いてもらうことが、その人の体や心の健康を維持することにつながると話がありました。
【支援の実際と支える力】
足湯ボランティアについては断水でお風呂に入れない中、カセットコンロで沸かしたお湯を好みの温度にして足湯をしながら手を揉みほぐしつつ、じっくりお話を聞くことでゆっくり話してくれる避難者が増えました。
中長期の避難生活を支えるために必要なのは、①気づく力②整える力③聴く力④つなぐ力とのことで、自分たちにはできなくても、トータルで生活課題をみて、他者につなぐことが重要と述べられました。
【制度把握と支援のスタンス】
罹災証明書が発行されると、被害区分により受けられる支援が決まるので罹災証明の重要性を語られ、取得支援も場合によっては行ったそうです。「看護・福祉チーム」 普段は訪問看護や福祉施設で働いているが、休みを利用して来てくれる。 支援が必要な人たちを一部屋に集められると、目が届きやすくなりました。
支援のスタンスとしては一人ひとりの声に耳を傾け、 選択肢を示し、当事者の方に選んでもらうことと、日常の動作が生活リハビリという視点を忘れず、避難所にいるからとできなくならないように意識していました。避難者だからと過保護にしすぎず、自分でできることは自分でやってもらう。 在宅医療に携わってる看護師が生活課題を見つけるのに長けているので、非常に助かっているとのことでした。
基調報告
労働組合に入って、社会保障拡充の声を広めよう‼
県医労連・池田書記次長が基調報告を行いました。コロナの支援が打ち切られる中での医療、介護の過酷な現場実態を報告し、秋闘や春闘での取り組み、県交渉、記者会見やナースウエーブを行ったことを報告。
名古屋市のリハセンが市大化に伴いデイケア廃止などが決まったことはリハセン労組を中心として署名行動に連日取組み、利用者も巻き込んだ運動したことに触れました。世界でも日本でも低賃金や人員不足の改善のストライキが盛んにおこなわれていると話しました。
軍事費2倍化は着々と進む一方で、訪問介護の報酬カットやマイナ保険証強行など社会保障の削減社会保障拡充の声を広めよう、要求実現のために組合員を増やそう、一人からでも入れる組合に是非加入をと呼びかけました。
翌日には医療研参加の未組織労働者が1名が加入しました。
分科会
実行委員会形式でコロナ禍以来の分科会開催
午後は、認知症、嚥下・排泄ケアに分かれて分科会を行いました。認知症ケアは伊藤祐子さん(認知症看護認定看護師)、摂食嚥下ケアは永井浩美さん(摂食嚥下障害看護認定看護師)、排泄ケアは水野正子さん(名市大薬学部客員教授)に講師として来ていただき、午前の感想交流とともに、講義、実践を行いました。
参加者からは、嚥下分科会では「実践を交えて行うことで非常にわかりやすかった。」などの感想が寄せられました。認知症分科会では「周辺症状の対応策を考えるのではなく、行動を起こす原因を探ってみようという言葉が印象的だった」、排泄分科会では「生活に即して実践的な排泄のアドバイスがもらえてよかった」など感想が寄せられました。